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ツアーレポート

起業家視察ツアー 第3回

2013.11.07

11月7日(木)、第3回先輩起業家視察ツアー「ネットショップ運営の現場についての話を伺う」を開催しました。 南三陸町に新設された南三陸ポータルセンターで、株式会社及善商店の及川善弥氏、ネットショップ「南三陸deお買い物」を運営されている伊藤孝浩氏より、 事業の現場ならではの貴重なお話を伺いました。

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◆被災した事業

2011年3月11日、南三陸町に商売の根を下ろして五代目となる株式会社及善商店は、人的被害は免れたものの、その施設に壊滅的ダメージを受けました。 「まだ心の火は消えていない」という先代社長とともに、六代目にあたる善弥さんは被災から半年後に隣接の登米市で商品の生産を再開しました。 蒲鉾を作りたいという一心でのスタートだったそうです。販売ルートが断絶する中、被災直後の商売を支えたのが、ネットショップでした。 全国から震災前の10倍もの注文が入り、当時の売上の80パーセントを担ったのだそうです。

◆事業を継ぐ 発展させる

善弥さんは現在、事業を発展させるツールとしてネットショップの活用を模索しています。 震災から二年経った今、復興を応援する意味で購入してもらうだけではなく、良いものだと発信していくことで自分達のこだわりを分かってくれる人に味わってもらいたいと考えているそうです。 先代と開発した厚焼き蒲鉾、品評会で1位の評価を受けた「リアスの秘伝」を、自信を持って展開しています。

◆故郷のためにできること

生まれ故郷に大きな震災が起こった時、伊藤孝浩さんは中国で仕事をしていました。 離れた場所から手助けできることをと考え、インターネットを使った被災地の情報発信を始めました。 この活動はtwitterでの情報収集から南三陸町支援情報ポータルネットを立ち上げての生活情報発信に発展し、町民の生活を支えました。 翌年、故郷に戻り職を求めた伊藤さんに、ネットショップの運営をしないかと声がかかりました。それが、「南三陸deお買い物」でした。

◆必要が成長の源

パワーポイントくらいしか使えなかった、という伊藤さんは、自ら画像ソフトを購入しオンラインで学習しながらサイト運営のスキルアップをしました。 Facebookの活用でサイトの認知度が上がり、現在は南三陸町の事業者と首都圏の消費者をつなぐ役割を担っています。 今後の課題は、一つ一つの店舗の売上を増やすこと、と伊藤さんは語ってくれました。「南三陸deお買い物」と伊藤さんは、南三陸と世界を結ぶ大切な架け橋となっていくことでしょう

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株式会社及善商店 専務 及川 善弥さん

1980年、志津川町(現南三陸町)出身。
仙台第三高等学校理数科卒業後、東海大学海洋学部水産開発課程へ進む。 2004年から㈱丸う田代蒲鉾店(小田原市)にて修行。全国蒲鉾技能士2級取得。 2007年3月、㈱及善商店に入社。 東日本大震災にて工場、店舗、自宅を流失したが、2011年9月に宮城県登米市にて製造工場を再稼働。

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南三陸 de お買い物 伊藤 孝浩さん

南三陸町出身。中学まで地元で過ごし、高校進学を機に地元を離れ仙台の高校へ。
千葉大学に進学、農学修士(植物遺伝子工学専攻)取得。その後、大手外食チェーンに就職。 入社3年目から中国に駐在、その1年後に東日本大震災。 震災後は南三陸支援情報ポータルサイトを始めとした情報支援活動を続け、 2012年5月に退職、6月に南三陸町にUターン、現在「南三陸 de お買い物」店長。